「一級建築士試験のエスキスがまとまらないことが多いけど何が原因だろう。エスキスがまとまらない時の対処方はあるのかな。」
本記事ではこういった方向けです。
こんにちは。ポンタです。
僕は令和元年度に一級建築士試験にストレート合格しました。
初学者だったので製図試験は、苦労しました。
過年度の受験生と比べると、なかなかエスキスが上手くまとまらずに悩んでいました。
初めは、意匠設計の基本も分かりませんでしたので、エスキスの何が良くて何が悪いのかも判断できていませんでした。
今回は、僕の経験談から一級建築士のエスキスがまとまらない時について解説していきたいと思います。
一級建築士のエスキスがまとまらない原因(経験談)
一級建築士試験は、エスキスが肝だと思います。
いくら作図が早くても、記述で素晴らしい文章を書いても、肝心のプランがイマイチでは合格が難しいです。
特に、初めのうちはエスキスがまとまらずに、時間だけ経過していくという無駄な時間をよく過ごしました。笑
何か書かないといけないとは思っていても、手が動かないんです。
自分の経験からどんな時にエスキスがまとまらなかったか。
自分の場合は、主な要因が以下になります。
- スパン割りが悪い
- 大空間の配置が悪い
- 廊下がクネクネしている
順番に紹介していきます。
スパン割りが悪い
エスキスを行う上でスパン割りを考える必要があります。
簡単にまとめると、柱を落とす位置を決めるので、スパン割りが悪いと部屋の内側に柱が出てきたりして、使いにくい部屋が出来上がります。笑
敷地の形や建蔽率等からある程度、建物のアウトラインはわかるかと思います。
自分の場合は、その段階でスパン割りを決めてしまっていました。
初めのうちは、とにかく均等にスパンを取っていて7×7m等に変に拘っていました。
スパンは部屋の配置をザックリ決めてからでも遅くありません。部屋の面積からスパンを考えると良いですね。
また、短辺方向のスパンが少ないと部屋は配置しにくいです。最低でも、4スパンは確保しないと階段やホールを配置する際に苦労します。
課題によっては短辺3スパンが正解なものもあるかもしれませんが、基本的に短辺方向のスパンは多く取った方がエスキスしやすいです。
スパン割りが悪いとエスキスがまとまらない原因です。
大空間の配置が悪い
大空間の配置は初めに考える必要があります。
自分の時は多目的ホールが良く課題に出題されていました。
大空間なので柱を抜き、更には2層分の部屋になりますので、エスキスへの影響が大きいです。
この大空間をエスキス終盤まで残してしまうと、完全にお手上げになります。
だいたい大空間の配置は、エスキスがまとまらない大きな要因になります。
初めに、大空間の配置を検討して、順番に小さな部屋の配置を考えた方が、エスキスの手が止まらずやりやすかったりします。
小さな部屋の配置は無限ありますが、大空間の配置の仕方は限られてきますので、エスキスの範囲が狭まって考えやすかったりします。
大空間の配置が悪いのはエスキスがまとまらない原因です。
廊下がクネクネしている
廊下がクネクネしている人で、エスキスを上手くまとめてる人を見たことがありません。
自分も初めそうだったのですが、部屋の配置に一杯一杯で利用者の動線まで考えていませんでした。
そのため無理やり部屋の入口を作るために、廊下がクネクネしていました。
部屋の配置ができないのに、動線計画まで頭が回らないなんて思っていたのですが。
しかし、実際は逆で大きな部屋の配置だけ考えて、先に廊下を計画した方がエスキスがまとまりやすかったのです。
ホールやエントランスから廊下をまっすぐ突き当たりまで伸ばすことで、その左右に部屋を並べていくだけでよく、考える幅が少なくて済みました。
廊下がクネクネしているのは、エスキスがまとまらない原因です。
上記の部分が、上手くいっていなくてもエスキスがまとまるような課題もあります。
しかし、難易度が上がり、面積に余裕がなかったりした場合はエスキスが上手くいかない可能性が高いです。
また、仮にまとまったとしても、上記の原因をクリアできていない図面は見た目も悪いです。笑
製図試験は、競争試験ですので、条件をクリアするだけでなく少しでも人より良い図面を仕上げる必要があります。
エスキスがまとまらない時の対処法
上記のようにエスキスがまとまらない原因は様々でした。
次に、エスキスがまとまらないの時の対処法について、僕が行っていたことを紹介したいと思います。
エスキスをまとまらない時は、一度考え方を変える必要があります。
同じプランでエスキスを続けてても、上手くいかない時は全然まとまりません。
時間次第ですが、一度手順を戻って考え直す必要もあります。
僕は実際に以下のような方法をとっていました。
- ゾーニングを再検討してみる
- 要求室の面積を考え直す
- スパンを変動させる
順番に紹介しますと言って
ゾーニングを再検討してみる
エスキスがまとまらない時は、単純にゾーニングのミスが考えられます。
基本的に要求室は、それぞれ部門別にゾーニングしていくことになります。
ただし、その部門別のゾーニングでは、面積バランスが悪くエスキスが収まらない時があります。
対処法としては、各階別でのゾーニングに拘りすぎないことも重要です。
僕の試験課題だった美術館を例にあげると
- 3階:展示部門
- 2階:教育部門
- 1階:共有部門
上記のような綺麗に階別ゾーニングできないこともあります。
その場合は、1階の共有部分と別の部門の一部を、同じゾーニングと考えたり工夫が必要です。特に大空間などは、部門と切り離して、利用しやすさから1階に配置する場合も考えられます。
エスキスがまとまらない時はゾーニングの再検討も必要です。
要求室の面積を考え直す
要求室の面積は、課題によって定められている場合や、利用者の人数から計算する場合があります。
エスキスがまとまらない原因として、面積の取り扱いが適切ではない場合があります。
家具の配置なども考えながら計画しますが、必要以上に要求室の面積を取っている可能性があり、一度考え直すとエスキスがまとまるかもしれません。
例えば、要求室の面積は約〇〇と記載されている場合があります。
「約」ということは多少下回っても問題なく、大体90%確保できていれば大丈夫です。
要求室の面積が約100㎡の場合
- 100×0.9=90㎡
上記のように計算すればOKです。
ただし、要求室の面積には、〇〇以上というような出題パターンがありますので、読み間違えには注意が必要です。
エスキスで困ったら要求室の面積を再確認しましょう。
スパンを変動させる
エスキスをまとめる方法として、室の形に合わせてスパンを変動させる方法があります。
おそらく初めに検討するプランとして、均スパンでエスキスを行うと思います。
しかし、問題の難易度が上がると中々均等なスパン割りでは、エスキスを収めるのが難しくなってきます。
僕がエスキスをまとめるために、やっていたのが均スパンへのこだわりを無くすことです。
例えば、7mのスパンの中に6mや8mのスパンが含まれている様な計画です。
ホールなどの大空間から、欲しい面積分のスパンを決めて、残りの部分を調整する方法を僕は良く使っていました。
外交条件などで建物の形状はある程度決まってきますが、スパンの割り方は、ある程度自由にすることがオススメです。
ただし、スパンの長さは、なんでも良いというわけではなく一般的に鉄筋コンクリート造なら6~10mの範囲が現実的です。
エスキスがまとまらない場合は、スパン割りを変えてみる事も有効な対処法です。
まとめ:エスキスがまとまらない時は考え方を変えること
今回は、一級建築士のエスキスでまとまらない時の原因と対処法を、僕の経験談から紹介してきました。
エスキスがまとまらない時は考え方が固まっているため、一度リセットする必要があります。
どうしても、切り替えられないなら、一度席を立ってトイレに行ってみる事も有効な手段だと考えています。
時間は惜しいかもしれませんが、以外と良いプランが思いつくかもしれません。
また、エスキスがまとまらないのは、配置が無限にあるように見えるため、正解が見えてこないからだと考えています。
エスキスを時間内にまとめるには、どれだけ選択肢を減らしていけるかも重要です。
また、エスキスの勉強方法については、僕が一級建築士になったエスキス勉強法【再試験で難化しても合格】で詳しく解説しています。
というわけで以上です。
皆さん多忙な中、勉強するのは大変でしょうけどがんばって下さい。
本記事が少しでもみなさんの役に立ててれば幸いです。